がん治療「統合医療」脚光
がんは、日本人の死亡原因のトップを占める。医療が進歩する一方で、年々増え続けるがんに対して、現代医療と代替医療を組み合わせた「統合医療」が、クローズアップされている。 今なぜ、統合医療なのか。注目されているフコイダン療法をみた。
現代医療の進歩によって、平均寿命は延びている一方、がんや心臓病、脳卒中、糖尿病、アレルギー疾患など、慢性的な病気で苦しむ人が増えている。
平成17年の厚生労働省調査によると、日本人の死因の上位は、1位がん、2位心疾患、3位脳血管疾患。がんが全体の約3割を占め、日本人の3人に1人が、がんで亡くなっている。高齢化とともにがんは年々増え続け、2015年には1年間に89万人もの人が新たにがんにかかると予想されている。
現代医療のスタンダードである西洋医学は、悪い部分をピンポイントで治療するという発想で飛躍的に発展してきた。がんも早期発見・早期治療ができれば、昔のように治らない病気ではなくなっている。
がんの治療は大きく分けると、手術、抗がん剤による化学療法、放射線療法の3つがある。西洋医学ではこれらを組み合わせて行うのが一般的だが、手術は体の負担が大きく、抗がん剤や放射線はがん細胞だけでなく正常な細胞にまでダメージを与えてしまう。がん治療が患者を苦しめるケースも多く、今も有効な治療法が見つかっていないのが現状だ。
現代病に対応できない西洋医学の限界が指摘されるなか、今、代替医療の有効性が見直されている。代替医療は、科学を基盤とした西洋医学の範囲に入らない医療を指す。鍼灸やアーユルベーダなどの伝統医学、アロマテラピーやカイロプラクティック、民間療法や食事療法、健康食品など。 代替医療は、病気を生命システムの不調と捉え、体全体の自然治癒力を上げるのが特色。近年、代替医療の研究が進み、現代医療と代替医療を組み合わせて、お互いの弱点を相互補完する「統合医療」が注目され始めている。
さきごろ、大阪市中央区の大阪国際会議場で、NPO法人「統合医療と健康を考える会」による「低分子化フコイダン療法症例検討会」が開かれた。
「統合医療と健康を考える会」は、代替療法を客観的な立場で研究し、医師らとともに、代替医療の普及と統合医療の実現に向けて活動している。症例検討会では、健康食品のフコイダンを使ってがん治療を実践する医師約30人が集まり、数多くの症例について情報交換が行われた。
フコイダンは、コンブやワカメ、モズクなど、褐藻類に含まれるぬめり成分。キノコに含まれるベーターグルカンと同じ多糖類の仲間である。フコイダンには、フコース、ガラクトース、ウロン酸などが含まれる。とくに硫酸基がついたフコースを多く含み、細胞のさまざまな機能に影響を与えることが分かっている。